2013年6月25日火曜日

今週の注目ニュース(6/23)


・Yahoo!がMOOCsを使った社員教育をスタート

米国Yahoo!がMOOCsプロバイダCourseraとパートナーシップを組み、MOOCsを使った社員教育を開始した。Courseraでは、本人認証を行いコース修了者に認定証を発行する仕組み「シグネチャ・トラック」を取り入れたコースを50以上開講している。

Yahoo!は社員の専門スキル向上のためにMOOCsでの学習が有効だと考えており、世界的企業であり日々の業務も多忙なことが導入を促したとされている。

Coursera Blog • Yahoo! sponsors employees to earn Verified Certificates on Coursera http://blog.coursera.org/post/53374336556/yahoo-sponsors-employees-to-earn-verified-certificates


・Futurelearnが国際展開へ

英国オープンユニバーシティにより設立されたMOOCsコンソーシアムFutureLearnに、英国外の大学が加盟校として加わった。新たに加わったのは、オーストラリアのモナシュ大学とアイルランドのトリニティカレッジである。両大学ともオンライン教育により大学による教育の機会が拡がることを期待している。

FutureLearnは現時点で英国の大学を中心に26校が加入しており、今年後半からコースの公開を予定している。

FutureLearn announces international expansion - FutureLearn
http://futurelearn.com/news/futurelearn-announces-international-expansion/


・学習成果を認証する「デジタルバッジ」の浸透

大学においてデジタルバッジの導入が積極的に検討されている。デジタルバッジは、学習者がある内容について習得したことを示すもので、学習者の個人ページやLinkedinのようなサービスのマイページ上に、通常バッジを模した画像で表示される。このバッジをクリックすると、リンク先でそのバッジの発行者やバッジの発行条件、またその学習者が習得のために行った活動を証明する情報が表示される。このようなバッジシステムの仕組みにMozilla Open Badgesがあり、誰しもがこのようなバッジを発行できるような仕組みやツールが提供されている。

このようなデジタルバッジを、マッカーサー財団の支援を受けて導入することとなったのが、カリフォルニア大学デービス校である。同校では持続的な農業と食料システムを学ぶ専攻を新たに開設した。この専攻は多くの活動を学外で行うため、学生は行った学習や活動を示すためポートフォリオを制作する。専攻プログラムにおいては、戦略的マネジメントなどいくつかの高いレベルの能力を身につける必要があるが、学生のポートフォリオの中にそれぞれの能力を身に付けたことを示すバッジが表示され、そのバッジをクリックすると、その学生がその能力を身につけた具体的な経験についての情報を見ることができる仕組みを導入する。

デジタルバッジが「公正」なものであるためには、発行者や発行基準が正当なものであることが大前提だが、このようなバッジを様々な学習機会に応じて発行することで、その学習者が何を学び、どのようなことができるのかについてより具体的に示すことができるようになる。インターネット上で本人のプロフィールや経歴を示すことが今後より多くなると予想されることから、デジタルバッジの仕組みが本人の能力を示す一つのツールとして定着する可能性がある。

How Badges Really Work in Higher Education -- Campus Technology http://campustechnology.com/articles/2013/06/20/how-badges-really-work-in-higher-education.aspx

Not Just for MOOCs Anymore: Integrating Badges on Campus
http://edcetera.rafter.com/not-just-for-moocs-anymore-integrating-badges-on-campus/

2013年6月17日月曜日

今週の注目ニュース(6/16)


・MOOCsプラットフォームedXのソフトウェアをオープンソースで公開

大学コンソーシアムが運営するMOOCsプロバイダのedXは、MOOCsを公開・運営するソフトウェアをオープンソースで公開した。これまでedXはMITやスタンフォード、UCバークレーなどと共にこのプラットフォームを開発してきた。すでにGoogleグループ上で開発者同士の交流が始まっており、何人かの開発者は試行的にインストールと運用を始めているようである。プラットフォームを構成するソフトウェアをオープンソースで公開することで、更なる開発や多言語対応を加速させることが狙いのようだ。

今回公開されたMOOCsプラットフォームを構成するソフトウェアは、
・edx-platform:LMSとオーサリングツールを含む主要レポジトリ
・XBlock:コースウェア(オンライン講義)を構成するコンポーネントアーキテクチャ
・edx-ora:自動採点を行うコンポーネント
・Discern:機械学習により記述回答を分類するコンポーネント
・EASE:機械学習により記述回答を採点するコンポーネント
などである。

edX Code
http://code.edx.org/


・新しいGoogle Mapについて学ぶためのオンラインコースが開講

先日Google Mapがリニューアルされたが、新しくなったGoogle Mapの使い方や活用方法について学ぶオンラインコースがGoogleによって開講されている。
私自身受講をしてみたが、Googleマップの機能について説明したビデオやクイズが用意されていて、出された課題に従い探した場所をGoogleグループに投稿するなど、参加者がやりとりする仕組みも取り入れられている。

ユーザに新しいサービスをよく知ってもらう方法としてオンラインコースを使うという、面白い取り組みである。

Mapping with Google - Course
https://mapping.withgoogle.com/course


・MOOCsの教育効果を明らかにする研究助成がスタート

ゲイツ財団の支援により、MOOCsの教育効果を明らかにする研究に助成金を与えるプロジェクトが始まった。

「MOOC Research Initiative」とよばれるこのプロジェクトは、一つの研究につき1万ドルから2万5千ドルの助成金が与えられ、プロポーザルによる審査を経て、今年12月にカンファレンスでの発表、最終報告を来年の早い時期に行うというスケジュールが組まれている。

このプロジェクトの運営にはゲイツ財団のメンバーやスタンフォード大学の教員、また2008年にはじめてMOOCを開講したアサバスカ大のGeorge Siemensも加わっている。MOOCsの可能性には注目が集まる一方で懐疑的な見方も広まっており、実際にMOOCsが教え手や学び手にとってどういう効果があるのかについて、実践や経験に基づいた分析を行うことがこのプロジェクトの目的だとされている。

MOOCsを一過性のブームとして捉えるのではなく、オンライン教育における一つの選択肢として冷静に捉えてゆくアプローチであり、日本でも同様の取り組みが必要だろう。

MOOC Research
http://www.moocresearch.com/

2013年6月9日日曜日

今週の注目ニュース(6/9)


・MOOCsの導入がもたらす隠されたコスト

サンノゼ州立大学はMOOCプロバイダのUdacityと提携して、大学単位を取得できるオンライン講義を開講するパイロットプロジェクトを進めている。中でも数学の基礎科目のオンラインコースは、インターネット接続環境のある人なら誰でもサンノゼ州立大学の単位を取得できる。高校やコミュニティカレッジや大学が参加し、所属する学生がオンライン講義を受講している。

しかし低所得家庭の学生の一部は、コンピュータやインターネット接続が家にないためコースを十分に受講できていない。また参加校の一つOakland Military Instituteは、受講する45名の学生のためにコンピュータ教室の大半を提供し、学生の質問に答えたり課題に取り組ませるために、コンピュータ教室の教師がかなりの時間を使い学習支援を行っている。このようなオンライン教育を導入するためのインフラや機器、人員などの「隠れたコスト」が明らかになってきている。一方で、オンライン講義を受講している学生からの評判は上々で、学習そのものは順調に進んでいるようである。

生徒の学習環境が学校や大学から外へと広がったとき、その拡張に必要な負担を誰がどのように担うかについて、まだ十分に議論されているとは言いがたい。家庭や地域のデジタルデバイドや収入格差が、オンライン教育の導入にとって躓きとなりうることを念頭に置く必要がある。

San Jose State's online college course experiment reveals hidden costs - San Jose Mercury News http://www.mercurynews.com/education/ci_23366281/online-college-course-experiment-reveals-hidden-costs

・カリフォルニア州で大学でのMOOCs活用を支援する法案が通過

カリフォルニア州で、SB520とよばれるオンライン教育を推進する法案が通過した。州内で大学向けのオンライン講義の制作に補助金を与え、需要の高い1、2年次のコースを20講義程度作ることを目指す。CourseraやUdacityのような企業と連携することも認められている。

カリフォルニア州では大学への入学希望者が定員に追いつかない一方、州からの補助金が減らされ大学教育のコストを削減する必要に迫られている。この法案を支持する議員は、この課題を解決し州内の大学教育を標準化するため、オンライン教育を活用することが有効だと主張している。

この法案は同州の教育問題の解決につながると指示される一方、営利企業が公的な教育に入り込むこと、既に似たような法案が存在すること、教育予算の削減をそもそも改めるべきなどの批判も多い。このような州政府の後押しにより、大学教育におけるMOOCs活用がさらに拡がることになりそうだ。

Online education bill passes in state Senate despite opposition - The Daily Californian http://www.dailycal.org/2013/06/04/online-education-bill-passes-in-state-senate-despite-opposition/

MoveOn Petitions - UC Faculty Opposition to SB520 -- Automatic MOOC transfer credit http://petitions.moveon.org/sign/uc-faculty-opposition

・米政府が学校へのインターネット普及を加速

米国政府が「ConnectED」というイニシアチブを開始した。これからの教育はデジタル技術を活用してより双方向個別的になり、実世界と接続されるという考え方から、連邦通信委員会に初中等学校と図書館の99%に高速インターネット接続を提供することを促す。また学校におけるテクノロジ活用や教師向けのトレーニングを提供する。教育分野の企業の参加も促す。

ConnectEDの趣旨を説明したホワイトハウスのブログには、全ての学校に高速インターネット接続が施設され、2016年までに紙の教科書をデジタル教科書に置き換える韓国の事例が紹介されている。このイニシアチブは、遅れをとり不利な立場にある米国の学校を改善することを目的としている。

What is ConnectEd? | The White House
http://www.whitehouse.gov/blog/2013/06/06/what-connected