2013年5月27日月曜日

今週の注目ニュース(5/26)


■BYODに潜む10の落とし穴

職場や学校に自前のデバイスを持ち込む方法(Bring Your Own Device: BYOD)は、端末コストを削減し職場や学校のシステム利用を促す方法として注目されている。しかし、BYODを実施するにはセキュリティや互換性に至るまでさまざまな問題がある。この記事では、データの漏洩やパスワードの流出など、10の問題を整理している。

学校現場でBYODを導入する場合、この中でも「デバイス管理の煩雑化」「ワイヤレスLANのボトルネック」「互換性の問題」は大きな課題となる。私の関わっている西武台新座中では1人1台のiPadを使った授業を行っているが、管理は学校側で行い無線LANを増強するなどの対応している。iPadのため、特にMicrosoft Office系ファイルを使うことはできない。

学校現場でBYODを取り入れるためには、管理の一部を学校側で担う、学校が接続された通信帯域を十分に確保するなどの手あてを事前に行うことが、デバイスの活用には欠かせない。

BYODに潜む10の落とし穴(そしてこれを避ける方法) - ZDNet Japan http://japan.zdnet.com/mobile/sp/35032101/


■Courseraがオンライン講義の多言語化を推進

MOOCプロバイダのCourseraは世界各国にある10の組織と提携して、オンライン講義の翻訳を進めることを発表した。この提携により、さまざまな地域の学習者にむけた多言語のコースを公開することを目指している。

Courseraと連携するのは、翻訳会社やモバイルキャリアや非営利組織や企業など。日本からは英会話教材やアプリ開発などを手がけるエス株式会社が参加している。

加えてCourseraはTransifexというソフトウェア翻訳を手がける企業と提携し、プラットフォーム自体の多言語対応も進める。現時点でCourseraの講義ビデオには字幕がついているものの、クイズやテストは他言語対応しておらず、将来的にプラットフォームの言語も含めさまざまな言語で使えるようにすることを目指している。

いくら英語がグローバルな言語だとしても、それぞれの地域で使われている言語で講義を受けられるに越したことはない。Courseraが独自で翻訳を手がけるのではなく、国際的にパートナーを募って進める方法は効率もよさそうである。Courseraが日本語の講義を提供する日もそう遠くないかもしれない。

Coursera Blog • Coursera Partnering with Top Global Organizations Supporting Translation Around the World
http://blog.coursera.org/post/50452652317/coursera-partnering-with-top-global-organizations

プレスリリース - エス株式会社
http://es-c.co.jp/news_press/pr_20130516_coursera.php

Making Education Available Anytime, Anywhere Across Language Barriers - Transifex blog http://blog.transifex.com/post/50513476608/transifex-coursera-partnership


■京都大学が大学によるMOOCsプラットフォームEdXに参加

京都大学はMOOCsプラットフォームEdXに参加することを発表した。来年の春から上杉教授による「生命の化学: Chemistry of Life」が開講される。日本からのMOOCsプラットフォームへの参加は、東大のCoursera参加に続き2例目。EdXへの参加は日本で初めてとなる。

いま一度整理すると、EdXは大学が共同してMOOCsを開講するコンソーシアムで、MITやハーバード大学などがmitX、harvardXなどの名称でMOOCsを開講している。Courseraは大学の講義を大学に代わりMOOCsとして開講するサービスで、スタンフォード大教授らが設立した教育ベンチャー企業が運営している。

この2つを含め、MOOCsを開講したい大学にとっては複数の選択肢がある状況で、それぞれの大学は各校の事情に合わせサービスを選んでいる。EdXは大学が主体となって推進していることもあり、コース設計やデータ収集がより自由に行えるとの話も聞く。今後の展開に注目したい。

日本で最初にedXのコンソーシアムに参加しました。(2013年5月21日) — 京都大学
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2013/130521_1.htm

2013年5月19日日曜日

今週の注目ニュース(5/19)


■テキサス大学オースティン校の反転授業スタートガイド

反転授業(Flipped Classroom)のコンセプトが広まる中で、実際の授業に導入するためのノウハウが求められている。EdXを導入したテキサス大学オースティン校のCTL(Center for Teaching and Learning)では、反転授業を取り入れたい教員に向けたクイックスタートガイドを公開している。

オースティン校での実際の事例をビデオを示しながら、授業時間の使い方やオンライン教材の紹介、自作教材の作り方などを具体的にわかりやすく紹介している。

大学教育のありかたが変わる中で、教員やTAを支援するCTLの役割はますます高まると思われる。単なるテクノロジ活用だけでなく、それぞれの教員の分野やニーズに合わせて教育方法を包括的に提案できる組織や人財をいかに作り出していくかが課題である。

Flip Quick-start Guide | Center for Teaching and Learning
http://ctl.utexas.edu/ctl/node/426


■セイラー財団が初中等教育向けのオープン教材を公開

オープン教材(OER: Open Educational Resources)の普及に力を入れているセイラー財団が、初中等教育向けのオンラインコースを公開した。

これまでもセイラー財団は、大学向けのオープン教材やオンラインコース「Saylor University」を公開してきた。その数は270コースに達する。まだオンライン大学と提携して、セイラー財団の教材を使って学士号を取得できるプログラムも推進している。

初中等教育向けに公開しているコースは現在5つで、英語や算数などが含まれる。これまでもCurrikiのような初中等教育向けのオープン教材で無料で公開する取り組みはあった。このような教材が普及することで、教育のコスト削減や選択肢の多様化が期待できる。

Saylor Foundation
http://www.saylor.org/


■ジョージア工科大学がMOOCsを使った大学院コースを計画

ジョージア工科大学がMOOCsプロバイダUdacityと提携して、コンピュータサイエンスの修士号を7000ドルで取れるオンラインコースを計画している。

同大学は通信会社AT&TとMOOCプロバイダUdacityと連携する。オンライン教育を活用することで、教員は8人程度しか増やさなくとも、大学院生の数を今の300人から3年以内に10000人までに増やすことが期待されている。

オンライン教育を使って教えや学びの選択肢を増やし、教育の質を高めることが期待される一方で、教員や大学の「人減らし・数減らし」を加速させるのではないかとの懸念もある。

オンライン教育が大学の間口を広げることに疑いはないが、オンライン教育の価値が認められるようになったならば、いまある大学のあり方が問われることにもなるだろう。

GT | Newsroom - Georgia Tech Announces Massive Online Master's Degree in Computer Science http://www.gatech.edu/newsroom/release.html?nid=212951

2013年5月12日日曜日

今週の注目ニュース(5/12)


■TechCrunchがMOOCsプロバイダUdemyと提携して「CrunchU」を開設

スタートアップ・IT系ウェブメディアのTechCrunchが、MOOCプロバイダUdemyと提携しオンラインコースを提供。TechCrunchが開く「CrunchU」では、レスポンシブウェブデザインを学ぶコースや起業に必要なスキルを学べる講座などを公開する。UdemyはCourseraなどと異なり、コース受講は有料。

http://gettingsmart.com/2013/05/more-moocs-techcrunch-and-udemy-partner-to-form-crunchu/


■CourseraがCheggと提携し、講義期間中に限り電子教科書を無償提供

MOOCsプロバイダCourseraが、教育ベンチャー企業Cheggと提携して、オンライン講義に使う電子教科書を提供することとなった。センゲージラーニングやオックスフォード大学出版、SAGEなどの教科書が、2つの講義で提供される。

Courseraの受講者は、講師が指定する教科書をCheggの電子書籍ビューアを使って無料で閲覧できる。ただし、講義終了後も同じ教科書を使いたい場合、受講者は教科書を購入する必要がある。

これまでMOOCsにおいて、講師が指定する教科書が高くて受講者が買えなかったり、受講者が教科書を読んでいないことが問題となっていた。今回の取り組みは、受講者が一般の大学講義のように教科書を用意して受講する手助けになると思われる。

しかし一方で、提供される電子書籍がDRMで保護され、受講者が講義終了後に使うためには買わなければならいことから、「教育の囲い込みだ」「オープンエデュケーションとは言いがたい」などの批判も相次いでいる。

http://blog.coursera.org/post/49930827107/collaborating-with-publishers-to-bring-courserians-more


■「クリエイティブな学びをみんなで学ぶ」オンラインコースが開講

MITメディアラボの"Learning Creative Learning"と理念を共有するオンラインコース「クリエイティブな学びをみんなで学ぶ」が開講されます。オープン教育研究所はコース運営を後援します。クリエイティブラーニングに興味のある方、また日本語でMOOCsを受講してみたい方、ぜひご参加下さい。

http://www.daigomi.org/lclj/

2013年5月5日日曜日

今週の注目ニュース(5/5)


■デューク大学がオンライン教育プラットフォームへの参加を中止

デューク大学が、参加を検討していたオンライン教育プラットフォーム「2U」でのオンライン講義公開を、学内投票の結果取りやめることになった。
オンライン教育でデューク大学の単位を出すことが大学の価値を低めかねないこと、他の参加大学とのバランスが取れないことなどが懸念されたようである。
2Uの運営する「Semester Online」では、大学の単位を取得できるオンラインコースが公開されており、数校のカレッジが参加している。

Arts and Sciences Council vote breaks contract with 2U | The Chronicle http://www.dukechronicle.com/articles/2013/04/29/arts-and-sciences-council-vote-breaks-contract-2u

Duke faculty reject plan for it to join online consortium | Inside Higher Ed http://www.insidehighered.com/news/2013/04/30/duke-faculty-reject-plan-it-join-online-consortium

Courses | Semester Online
http://semesteronline.org/courses/

■Courseraが現職教師向けコースを公開

MOOCsプロバイダのCourseraが、教師向けコースのカテゴリを新設した。初中等教育の教師が働きながら専門的能力を伸ばすため、オンライン講義を受けることができる。ワシントン大学の教育学部などがコースを提供する。
また、新たに米国の自然史博物館がコース提供者に加わり、教師向けのオンライン講義を公開する。

この記事の執筆者であるJulia Stiglitzさんは、私がCourseraに出向いた際に対応をして頂いた方で、教師や学校の支援に情熱を持っておられた。Coursera構成メンバーの持つ意思が、新しい取組みに反映されているようにも見えて興味深い。

Coursera Blog • Coursera Announces Professional Development Courses to Facilitate Lifelong Learning for Teachers
http://blog.coursera.org/post/49331574337/coursera-announces-professional-development-courses-to


■カリフォルニア大学サンノゼ校が「JusticeX」の導入を中止

MOOCsプロバイダedXの活用プロジェクトを進めているカリフォルニア州立大学サンノゼ校で、同校哲学科がマイケル・サンデル教授の"JusticeX"の導入を拒否した。
MOOCs導入を更に拡げる授業として学内から出された提案を断った形。MOOCsを教育に用いることが、教員を置き換え、学部を解体し、公的な大学の教育を傷つけることになると懸念されたようである。

サンノゼ校の哲学科はマイケル・サンデル教授に、大学教育の価値や教育を外部ベンダーに担わせることなどについて質問する書簡を公開した。サンデル教授もそれに返信した書簡を公開している。
サンノゼ校ではパイロットプロジェクトで、MOOCsの導入で学生の合格率が上がるなど、良好な実績を挙げてきた。また、サンデル教授も以前から世界各国の大学をテレビ会議でつないで講義をする"Global Classroom"を行うなど、積極的に新しい取り組みを行なっている。

MOOCsを教育に導入することは、これまでの教え方・学び方に変化をもたらす。どのような内容で、どんな場面でMOOCsを使うかについて、しばらく議論と試行錯誤が続きそうである。

Why Professors at San Jose State Won't Use a Harvard Professor's MOOC - Technology - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/Professors-at-San-Jose-State/138941/

サンノゼ校哲学科からサンデル教授への公開書簡
The Document: an Open Letter From San Jose State U.'s Philosophy Department - Technology - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/The-Document-an-Open-Letter/138937/

サンデル教授から返された公開書簡
Michael Sandel Responds - Technology - The Chronicle of Higher Education http://chronicle.com/article/Michael-Sandel-Responds/139021/