2012年11月26日月曜日

大学による著作物ビデオのストリーミングを認める判決

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)が、教育用のDVDを販売しているAmbrose Video Publishingらに訴えられた裁判で、カリフォルニア連邦判事は訴えを退ける判決を言い渡した。

この裁判では、UCLAが授業において同社のDVDを不正にコピーし教員と学生向けにストリーミング配信したことを問題視した。これに対しUCLAは、教材のストリーミング配信はフェアユース(※1)の範囲内であり、TEACH Act(※2)により認められる行為だと反論していた。今回の判決は大学側の主張がほぼ完全に認められたものだと言える。判決文の中で判事は、教員と学生を対象とした著作物ビデオのストリーミングがFair Useの範囲内に当たるのかについて、これまで法廷の場で考慮されてこなかったことを指摘していた。

米国において、オンライン教育における著作物の利用を容易にする法律としてフェアユースが重要な役割を果たしていることは、日本でもよく知られている。しかし、フェアユースはあくまで著作物の例外的な利用について主張する「抗弁自由」であり、その権利を完全に認めているわけではなく、著作権法など他の法律と照らし合わせながら事例ごとに利用の是非が判断される。以前もジョージア州立大学において、フェアユースにより大学の著作物利用が大幅に認める判決が下された(以下の記事)。

OpenEducation Update JP: オンライン上で教育目的に著作物を扱う「フェアユース」の判例
http://oedupdate.jamsquare.org/2012/05/blog-post.html

日本においては、フェアユースのような著作物利用の例外規定が整備されていないこと、オンライン利用については公衆送信権による制限が厳しいこと、判例が積み重ねてられていないことなどにより、オンライン教育における著作物利用には、相当の制限がある。日本においても同様の法整備や事例の積み重ねが求められる。

※フェアユース(Fair Use):教育や批評などを目的とする場合、著作物の利用を著作権侵害から除外する権利
※TEACH Act (Technology, Education and Copyright Harmonization Act):教育機関や学生が遠隔教育において、著作物を教材として柔軟に扱うことを認める法律

Judge Throws Out Lawsuit Over UCLA's Streaming of Videos to Students -
Legal - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/Judge-Throws-Out-Lawsuit-Over/135932/?cid=wc&utm_source=wc&utm_medium=en




2012年11月20日火曜日

コミュニティカレッジでedXを使ったブレンド型授業が開設される

米国マサチューセッツ州にある2つのコミュニティカレッジで、edXを使った授業が開設される。

来年春から、Bunker Hill Community CollegeとMassBay Community
Collegeでは、edXを教材として使ったブレンド型学習による授業が行われる。これまでも両校はオンライン学習やブレンド型学習を使った授業を提供してきたが、ゲイツ財団が百万ドルを支援し、MITxの"Introduction
to Computer Science and Programming"を転用させた教材を用いる。Bunker Hill Community
Collegeの紹介によれば、授業は"Flipped Classroom"の形態で、受講者は自宅など校外からオンラインでedXの教材を使って学び、対面授業では実践形式の試験やグループワークが行われる。

この授業はプログラミング言語のPythonを学ぶ講義で、通常の授業と同様に単位も授与される。

edX & Gates Partner to Offer Blended MOOCs at MassBay Community
Colleges - Getting Smart by Getting Smart Staff - edleaders, EdTech,
MOOC http://gettingsmart.com/cms/news/edx-gates-partner-to-offer-blended-moocs-at-massbay-community-colleges/

New Course: Practical Python Programming - MassBay Community College
http://www.massbay.edu/Academics/New-Course--Practical-Python-Programming.aspx

2012年11月18日日曜日

【解説】MOOCsを使った大学単位認定の現状

私の個人ブログに、MOOCsを受講することで大学単位を与える動きについてまとめましたので、紹介いたします。

The Shigeta Way: 【解説】MOOCsを使った大学単位認定の現状
http://shige.jamsquare.org/2012/11/moocs.html

2012年11月14日水曜日

メリーランド大学でMOOCsを活用するパイロットプログラムが始まる

メリーランド大学でMOOCsを使うパイロットプログラムが開始される。使われるMOOCsはCourseraやedXなどで、様々なオンラインコースや、オンライン・オフラインを組み合わせたハイブリッドコースでMOOCsを活用し効果検証を行う。

このプロジェクトの効果検証は、非営利団体ITHAKAの調査研究部門ITHAKA
S+Rが実施し、ゲイツ財団は140万ドルを拠出する。MOOCsが大学教育において費用を抑えながら、教育効果の維持や改善を行うことができるのか、検証することが目指されている。

Gates will fund $1.4 million research project to study MOOC-powered
courses at U. of Maryland | Inside Higher Ed
http://www.insidehighered.com/news/2012/11/13/gates-will-fund-14-million-research-project-study-mooc-powered-courses-u-maryland

米国大学協会ACEがMOOCsで単位認定を行うパイロットプロジェクトを開始

米国大学協会 American Council on Educationが、MOOCsの大学における可能性を検討するパイロットプロジェクトを開始した。

このパイロットプロジェクトではMOOCsの可能性を探るため、Courseraのいくつかのコースを使い大学単位を発行する評価を行う。ゲイツ財団はこの事業に合計3百万ドルを拠出する。

プロジェクトのために、Courseraは教育コースに含まれるテストにおいて、オンライン試験監督企業(online proctoring
company)と協同し、ウェブカメラを使ったテスト監視ソフトウェアを導入する予定。

American Council on Education Will Review Some MOOC's for College
Credit - Technology - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/American-Council-on-Education/135750/

ACE to Assess Potential of MOOCs, Evaluate Courses for Credit-Worthiness
http://www.acenet.edu/news-room/Pages/ACE-to-Assess-Potential-of-MOOCs,-Evaluate-Courses-for-Credit-Worthiness.aspx

What Are 'MOOC's and Why Are Education Leaders Interested in Them? |
Impatient Optimists
http://www.impatientoptimists.org/en/Posts/2012/11/What-Are-MOOCs-and-Why-Are-Education-Leaders-Interested-in-Them

(追記 2012/11/15)

現段階のACEによる発表では、一部の大学の数百人の学生を対象に、Courseraのコースを受講した学生にACEの単位を授与する可能性を探る、とされています。プロジェクトに関わる教員グループが、コースそのものや試験を慎重に評価した上で、単位を与えることがふさわしいかを評価するそうです。TechCrunchでは「正規に"学歴"として認定へ」と表現されていますが、今の時点では認定の可能性を探るパイロットプロジェクトが始まった、という状況のようです。

個人的には下記TechCrunch Japanの表現には少し違和感がありました。また原文では"Free Online Courses Being Considered For College Credit"とされていて、よりACEの発表に近いように思います。

無料のオンライン学習コースが正規に“学歴”として認定へ http://jp.techcrunch.com/archives/20121114the-school-less-revolution-free-online-courses-being-considered-for-college-credit/

米国出版社PearsonがOERを使い電子教科書を制作できるサービスを試行

米国出版社のPearsonが、自社のコンテンツとオープン教材(OER:Open Educational Resources)を組み合わせて電子教科書を制作できるサービスを開始した。

このサービス"Project Blue Sky"では、例えば教員がPearson社のテキストとMIT OCWのビデオなどを組み合わせて一つの電子教科書を制作し、自分の教材として使うことができる。有償の教材を使った場合の課金システムも組み込まれている。

現時点でこのプロジェクトは試行段階で、心理学のコース用の教材が用意され、13の大学で使用される予定である。

Pearson Project Will Let Professors Mix Free and Paid Content in
E-Textbooks - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/pearson-project-will-let-professors-mix-free-and-paid-content-in-e-textbooks/40830?cid=wc&utm_source=wc&utm_medium=en

Pearson - Blue Skies — New thinking about the future of higher education %'\n'% http://pearsonblueskies.com/

Udacityが大学との単位互換を開始


MOOCsを提供するUdacityは、コンピュータサイエンスの講義においてオンライン大学であるコロラド大学グローバルキャンパスと単位互換を開始した。これにより、Udacityでコンピュータサイエンスの講義を受けることで、この大学の単位を取得することができる。加えてオーストリアやドイツの一部の大学でも、Udacityと単位互換を進めている。※

※A First for Udacity: Transfer Credit at a U.S. University for One of Its Courses - Technology - The Chronicle of Higher Education -
http://chronicle.com/article/A-First-for-Udacity-Transfer/134162/