2012年4月7日土曜日

オープンな教育資源(OER)を提供する企業が出版社から提訴される

オープンな教育資源(OER:Open Educational Resources)の普及が進んでいる。高価な教科書の代わりにオープンな教材を無償で手に入れることで、教育コストの大きな部分を占める教科書代を節約することができる。このことで、より多くの人々が教育機会を手に入れることができると期待される反面、これまで教科書を作り続けてきた出版社の権利を侵害しているとの意見もある。

大学で使う教科書の代替となるオープンな教科書を提供しているBoundless Learningが、3つの出版社から提訴された。出版社らは、Boundless Learningが提供する教材を制作する過程で、出版社の教科書を不正に使い著作権を侵害していると主張している。

3 Major Publishers Sue Open-Education Textbook Start-Up - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/3-major-publishers-sue-open-education-textbook-start-up/35994

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(以下引用)

The publishers’ complaint takes issue with the way the upstart produces its open-education textbooks, which Boundless bills as free substitutes for expensive printed material. To gain access to the digital alternatives, students select the traditional books assigned in their classes, and Boundless pulls content from an array of open-education sources to knit together a text that the company claims is as good as the designated book. The company calls this mapping of printed book to open material “alignment”a tactic the complaint said creates a finished product that violates the publishers’ copyrights.

出版社の苦情は、この成り上がり者がオープンな電子教科書を作る方法、すなわちBoundlessが高価な印刷教材に対する無料の代用品を宣伝していることに対して反論している。デジタルの代替教材にアクセスするとき、まず生徒は授業で指定された伝統的な教科書を選択する。すると、Boundlessは大量のオープンな教材からコンテンツを引っ張ってきてテキストを結び合わせ、指定された教科書と同じくらいよいとBoundlessが主張する教材を生成する。この企業が、印刷教材とオープンな教材との「連携」と呼ぶこの方法について、(出版社の)反論では最終的に生成される教材が出版社の著作権を侵害していると主張している。

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(以上引用)

この訴訟では同時に、Boundlessと匿名の10名によるグループ(a group of 10 anonymous)も訴えられている。出版社は、彼らが出版社の著作権を侵害しながらBoundlessのオープンな教材の制作に関わっていると主張している。

これに対し、Boundless Learningは全面対決の構えである。同社のBlogでも出版社の追訴に対し、徹底的に争う姿勢を見せている。

$8M in Funding and a Lawsuit to Boot? Game on. - Boundless
http://blog.boundless.com/post/20543499968/boundless-8-million-lawsuit


オープンな教育資源が作られる目的や過程にもよるが、これらの教材が過去に出版された教科書を手本として作られていることは、想像に難くない。このような教材の著作権をどう考えるかは、専門家の間でも意見が分かれているのが現状である。Boundless Learningのように、ベンチャー企業として出資を受け、オープンな教育資源の普及に商業ベースで取り組む企業体も増えてきている。 企業同士のビジネスモデルの戦いという要素も孕みつつ、オープンな教育資源を作る過程での著作権をどう考えるかについての議論が今後増えることが予想される。