2012年12月7日金曜日

edXにWellesley Collegeがカレッジとして初参加


マサチューセッツ州のカレッジWellesley Collegeが、カレッジとしては始めてedXに加わった。Wellesley Collegeは女子生徒のみのカレッジで、来年秋からedX上でオンラインコースを男女問わず提供する。

edXのディレクターは、edXにとってWellesley Collegeが加わるメリットは、より多様なオンラインコースを増やすことでより多くの学生を集めることだと述べている。また、Wellesley Collegeの学長は、Wellesley CollegeがedXに加わるメリットとして、より多くの人がこのカレッジをedXをきっかけに知ることで、特に国際的に知名度を高め、生徒や卒業生に利益をもたらすことをあげている。

また、edXのコンソーシアムは、大学にオンラインコースを受講した学習者の履歴のデータを豊富に提供するため、このデータをキャンパスでの教育にも活かすことも期待されている。Wellesley Collegeでは、学部生がコースを企画し教えることに加わるほか、MOOCsを運営することで学んだことをキャンパスの教育にも活かしたいと考えている。
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実はこのカレッジの学長は既に別のMOOCsであるCourseraで、"Modernism and Postmodernism"というコースを開講している。学長は既にこのオンラインコースで教育方法について多くのことを学んでいると述べており、この経験と実績がedXへの参加にもつながったと考えられる。

edXはMITやハーバード大が設立したコンソーシアムで、トップユニバーシティが参加する連合になると考えられていたが、Wellesley Collegeの参加によって、より幅広い分野やレベルの大学が参加することが明らかになった。学習履歴データの提供も含め、CourseraやUdacityのような他のMOOCs(xMOOCs)に対して、edXがどのような差別化のための方略を打ち出していくのか、今後注目される。

原文:Unlikely Pairing? -Inside Higher Ed
http://www.insidehighered.com/news/2012/12/06/wellesley-and-wesleyan-hope-moocs-will-inform-campus-based-teaching#ixzz2ELLZS5iA 

Wellesley College Joins EdX | Wellesley College - Wellesley College
http://new.wellesley.edu/news/stories/node/31615

2012年11月26日月曜日

大学による著作物ビデオのストリーミングを認める判決

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)が、教育用のDVDを販売しているAmbrose Video Publishingらに訴えられた裁判で、カリフォルニア連邦判事は訴えを退ける判決を言い渡した。

この裁判では、UCLAが授業において同社のDVDを不正にコピーし教員と学生向けにストリーミング配信したことを問題視した。これに対しUCLAは、教材のストリーミング配信はフェアユース(※1)の範囲内であり、TEACH Act(※2)により認められる行為だと反論していた。今回の判決は大学側の主張がほぼ完全に認められたものだと言える。判決文の中で判事は、教員と学生を対象とした著作物ビデオのストリーミングがFair Useの範囲内に当たるのかについて、これまで法廷の場で考慮されてこなかったことを指摘していた。

米国において、オンライン教育における著作物の利用を容易にする法律としてフェアユースが重要な役割を果たしていることは、日本でもよく知られている。しかし、フェアユースはあくまで著作物の例外的な利用について主張する「抗弁自由」であり、その権利を完全に認めているわけではなく、著作権法など他の法律と照らし合わせながら事例ごとに利用の是非が判断される。以前もジョージア州立大学において、フェアユースにより大学の著作物利用が大幅に認める判決が下された(以下の記事)。

OpenEducation Update JP: オンライン上で教育目的に著作物を扱う「フェアユース」の判例
http://oedupdate.jamsquare.org/2012/05/blog-post.html

日本においては、フェアユースのような著作物利用の例外規定が整備されていないこと、オンライン利用については公衆送信権による制限が厳しいこと、判例が積み重ねてられていないことなどにより、オンライン教育における著作物利用には、相当の制限がある。日本においても同様の法整備や事例の積み重ねが求められる。

※フェアユース(Fair Use):教育や批評などを目的とする場合、著作物の利用を著作権侵害から除外する権利
※TEACH Act (Technology, Education and Copyright Harmonization Act):教育機関や学生が遠隔教育において、著作物を教材として柔軟に扱うことを認める法律

Judge Throws Out Lawsuit Over UCLA's Streaming of Videos to Students -
Legal - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/Judge-Throws-Out-Lawsuit-Over/135932/?cid=wc&utm_source=wc&utm_medium=en




2012年11月20日火曜日

コミュニティカレッジでedXを使ったブレンド型授業が開設される

米国マサチューセッツ州にある2つのコミュニティカレッジで、edXを使った授業が開設される。

来年春から、Bunker Hill Community CollegeとMassBay Community
Collegeでは、edXを教材として使ったブレンド型学習による授業が行われる。これまでも両校はオンライン学習やブレンド型学習を使った授業を提供してきたが、ゲイツ財団が百万ドルを支援し、MITxの"Introduction
to Computer Science and Programming"を転用させた教材を用いる。Bunker Hill Community
Collegeの紹介によれば、授業は"Flipped Classroom"の形態で、受講者は自宅など校外からオンラインでedXの教材を使って学び、対面授業では実践形式の試験やグループワークが行われる。

この授業はプログラミング言語のPythonを学ぶ講義で、通常の授業と同様に単位も授与される。

edX & Gates Partner to Offer Blended MOOCs at MassBay Community
Colleges - Getting Smart by Getting Smart Staff - edleaders, EdTech,
MOOC http://gettingsmart.com/cms/news/edx-gates-partner-to-offer-blended-moocs-at-massbay-community-colleges/

New Course: Practical Python Programming - MassBay Community College
http://www.massbay.edu/Academics/New-Course--Practical-Python-Programming.aspx

2012年11月18日日曜日

【解説】MOOCsを使った大学単位認定の現状

私の個人ブログに、MOOCsを受講することで大学単位を与える動きについてまとめましたので、紹介いたします。

The Shigeta Way: 【解説】MOOCsを使った大学単位認定の現状
http://shige.jamsquare.org/2012/11/moocs.html

2012年11月14日水曜日

メリーランド大学でMOOCsを活用するパイロットプログラムが始まる

メリーランド大学でMOOCsを使うパイロットプログラムが開始される。使われるMOOCsはCourseraやedXなどで、様々なオンラインコースや、オンライン・オフラインを組み合わせたハイブリッドコースでMOOCsを活用し効果検証を行う。

このプロジェクトの効果検証は、非営利団体ITHAKAの調査研究部門ITHAKA
S+Rが実施し、ゲイツ財団は140万ドルを拠出する。MOOCsが大学教育において費用を抑えながら、教育効果の維持や改善を行うことができるのか、検証することが目指されている。

Gates will fund $1.4 million research project to study MOOC-powered
courses at U. of Maryland | Inside Higher Ed
http://www.insidehighered.com/news/2012/11/13/gates-will-fund-14-million-research-project-study-mooc-powered-courses-u-maryland

米国大学協会ACEがMOOCsで単位認定を行うパイロットプロジェクトを開始

米国大学協会 American Council on Educationが、MOOCsの大学における可能性を検討するパイロットプロジェクトを開始した。

このパイロットプロジェクトではMOOCsの可能性を探るため、Courseraのいくつかのコースを使い大学単位を発行する評価を行う。ゲイツ財団はこの事業に合計3百万ドルを拠出する。

プロジェクトのために、Courseraは教育コースに含まれるテストにおいて、オンライン試験監督企業(online proctoring
company)と協同し、ウェブカメラを使ったテスト監視ソフトウェアを導入する予定。

American Council on Education Will Review Some MOOC's for College
Credit - Technology - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/American-Council-on-Education/135750/

ACE to Assess Potential of MOOCs, Evaluate Courses for Credit-Worthiness
http://www.acenet.edu/news-room/Pages/ACE-to-Assess-Potential-of-MOOCs,-Evaluate-Courses-for-Credit-Worthiness.aspx

What Are 'MOOC's and Why Are Education Leaders Interested in Them? |
Impatient Optimists
http://www.impatientoptimists.org/en/Posts/2012/11/What-Are-MOOCs-and-Why-Are-Education-Leaders-Interested-in-Them

(追記 2012/11/15)

現段階のACEによる発表では、一部の大学の数百人の学生を対象に、Courseraのコースを受講した学生にACEの単位を授与する可能性を探る、とされています。プロジェクトに関わる教員グループが、コースそのものや試験を慎重に評価した上で、単位を与えることがふさわしいかを評価するそうです。TechCrunchでは「正規に"学歴"として認定へ」と表現されていますが、今の時点では認定の可能性を探るパイロットプロジェクトが始まった、という状況のようです。

個人的には下記TechCrunch Japanの表現には少し違和感がありました。また原文では"Free Online Courses Being Considered For College Credit"とされていて、よりACEの発表に近いように思います。

無料のオンライン学習コースが正規に“学歴”として認定へ http://jp.techcrunch.com/archives/20121114the-school-less-revolution-free-online-courses-being-considered-for-college-credit/

米国出版社PearsonがOERを使い電子教科書を制作できるサービスを試行

米国出版社のPearsonが、自社のコンテンツとオープン教材(OER:Open Educational Resources)を組み合わせて電子教科書を制作できるサービスを開始した。

このサービス"Project Blue Sky"では、例えば教員がPearson社のテキストとMIT OCWのビデオなどを組み合わせて一つの電子教科書を制作し、自分の教材として使うことができる。有償の教材を使った場合の課金システムも組み込まれている。

現時点でこのプロジェクトは試行段階で、心理学のコース用の教材が用意され、13の大学で使用される予定である。

Pearson Project Will Let Professors Mix Free and Paid Content in
E-Textbooks - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/pearson-project-will-let-professors-mix-free-and-paid-content-in-e-textbooks/40830?cid=wc&utm_source=wc&utm_medium=en

Pearson - Blue Skies — New thinking about the future of higher education %'\n'% http://pearsonblueskies.com/

Udacityが大学との単位互換を開始


MOOCsを提供するUdacityは、コンピュータサイエンスの講義においてオンライン大学であるコロラド大学グローバルキャンパスと単位互換を開始した。これにより、Udacityでコンピュータサイエンスの講義を受けることで、この大学の単位を取得することができる。加えてオーストリアやドイツの一部の大学でも、Udacityと単位互換を進めている。※

※A First for Udacity: Transfer Credit at a U.S. University for One of Its Courses - Technology - The Chronicle of Higher Education -
http://chronicle.com/article/A-First-for-Udacity-Transfer/134162/

2012年10月17日水曜日

edXやUdacityが認定試験に外部サービスを活用


MITやハーバード、UCバークレーが参加するEdXや、セバスチャン・スラン教授らによって運営されているUdacityで、コース終了時に受ける試験に外部サービスを活用する取り組みが始まっている。MOOCsでは通常、コース終了後に試験を課すことで似修了者に認定証(Certificate)を与えている。この試験を、試験サービスを提供している企業の試験会場でも受けられるようにする試みである。

EdXは、オンラインコースでテストを受講する際に、電子試験配信サービスを提供する企業Pearson VUEのオンライン試験を使うことを発表した。Udacityも同様の発表を行った。Pearson VUEは、日本も含めた170カ国に4000の試験会場を持っている。認定証を与える試験に実績のある外部サービスを使うことで、認定証自体の価値を高めようとする狙いもあると考えられる。

edX Offers Proctored Exams for Open Online Course - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education -
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/edx-offers-proctored-exams-for-open-online-course/39656

Udacity: Udacity in partnership with Pearson VUE announces testing centers - http://blog.udacity.com/2012/06/udacity-in-partnership-with-pearson-vue.html

2012年8月23日木曜日

電子教科書は使いづらく、生徒や教師に好まれないという調査


学術ネットワークグループのInternet2と出版社が、コーネル大学など5つの大学において、電子教科書を授業で用いるパイロットプロジェクト行なった。調査の結果、多くの大学生が電子教科書を歓迎したものの、電子教科書が使いづらく、紙の教科書を好んでいることが明らかになった。
アンケートから、電子教科書は紙の教科書に比べて値段が安いため、生徒は電子教科書が選べることを歓迎している。しかし、電子教科書は閲覧がしにくいことに不満を持っている。電子教科書には、ノートを共有したりテキストからリンクを生成する機能などが組み込まれているが、教師はこの機能を使っておらず、生徒もこの機能を使っている人がいないために使わず、生徒同士のインタラクションを助けるとも思っていないと答えている。
報告書では、今後の課題として電子教科書の機能を有効活用するよう教員をトレーニングすることや、電子教科書を配布するプラットフォームとは独立して電子教科書を評価する方法を確立することを挙げている。
このパイロットプロジェクトは、参加校を24校に増やし今秋以降も続く予定である。

Students Find E-Textbooks 'Clumsy' and Don't Use Their Interactive Features - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/students-find-e-textbooks-clumsy-and-dont-use-their-interactive-features/39082?cid=pm&utm_source=pm&utm_medium=en

ここでも以前、大学が電子教科書を一括購入することで価格を下げる取り組みを紹介した。電子教科書は価格の安さは魅力的だが、同じ内容で紙の教科書を手に入れることができるのであれば、電子教科書が必ずしも選ばれるわけではないことを示した調査だといえる。
この調査は規模を拡大して今後も続くとのことである。電子教科書の可能性を探るために、出版社も協力してこのようなパイロットプロジェクトが行われていること自体に、大きな価値があると思われる。日本でもこのような試行的な取り組みが行われることを期待したい。

OpenEducation Update JP: 電子教科書の一括購入で米国5大学が連携 - http://oedupdate.jamsquare.org/2012/01/5.html

2012年8月22日水曜日

オンライン学習コミュニティP2PUがMOOCsを開始

オンライン学習コミュニティのP2PU(Peer 2 Peer University)が、MOOCs(Massive Open Online Courses:大規模公開オンラインコース)を開設した。

A Gentle Introduction to Python - Mechanical MOOC -
http://mechanicalmooc.org/

プログラミング言語Pythonを教える学習コースが提供される。このコースは、P2PUの中だけで完結するのではなく、MIT OCWやCodeacademyなど、他の教育プラットフォームと連携することが特徴である。コンテンツはMIT OCWから提供され、クイズや練習課題はCodeacademyから、質問などをし合うスタディグループはOpenstudyを使うなど、いくつかのプラットフォームを行き来しながら学ぶ仕組みのようである。

今年に入ってMOOCsを開設する動きが急速に広まっているが、MOOCsでは教材を公開するだけでなく、課題やクイズを用意したり、学習者のコミュニティサイトを作るなど、サービスの開発や維持に大きな手間がかかる。既存のサービス同士が連携することで、MOOCsを開設しやすくする試みであり、とても興味深い。

‘Mechanical MOOC’ to Rely on Free Learning Sites - NYTimes.com - http://www.nytimes.com/2012/08/21/education/mechanical-mooc-to-rely-on-free-learning-sites.html?_r=1

2012年7月25日水曜日

UC Berkeleyがオンライン教育プラットフォームEdXに参加

MITとハーバード大によるオンライン教育プラットフォーム「EdX」に3校目となる大学が加わった。EdXにはこれまで120校を超える大学から参加への興味を示す問い合わせがあったようだが、その中より最初に加わったのはUC Berkeleyだった。

Berkeley Joins 'EdX' Effort to Offer Free Open Courses - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/uc-berkeley-joins-edx-effort-to-offer-free-open-courses/37969

UC Berkeley joins edX
https://www.edx.org/press/uc-berkeley-joins-edx

UC Berkeleyからは人工知能とSaas(Software as a service)についての2つの講義が提供される。うち1つはCourseraに載った講義と同じ講師による似た内容のようである。MITとハーバードはEdXの開設にあたって計6000万ドルを出資しているが、UCBはEdXに出資はしない。そのかわり、プラットフォームの開発に貢献するとのことで、すでにUCBの技術者が開発に取り組んでいる。

EdXはゲイツ財団をはじめとして、卒業生等から多額の寄付が集まりはじめている。EdXのリーダーであるAnant Agrwalは、いずれEdXを財政的にも自立させたいと考えていると述べている。

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オンライン上で教授活動を大規模に行うMOOC(Massive Open Online Courses)の一つとEdXは見なせるが、他のCourseraなどの営利型サービスとの違いは、公開される教材自体がオープンソースである点である。そのため、教材の改変や二次利用が可能となっている。すなわち、EdXの教材はオープン教育資源(OER:Open Educational Resources)に近い性質を持っていると考えられる。

今回の発表には2つのポイントがある。一つはこれまでの告知どおり、EdXがMITとハーバード以外にも開かれた「オープンな教育プラットフォーム」となることが証明されたこと。もう一つは、UCBが取り組むプラットフォームの共同開発のような、EdXを介した出資や教材の提供だけではないコラボレーションの形が見えてきたことである。

先日私の個人ブログの記事にも書かせていただいたようにMOOCには課題も散見されるが、大学がオンライン上で教材を公開するだけでなく、講義活動そのものもオープンにする流れはしばらく続くと思われる。引き続き注目していきたい。

2012年7月23日月曜日

MOOCの特徴を解説したインフォグラフィック

MOOC(大規模公開オンラインコース)の特徴や、著名なサイトを紹介したインフォグラフィック。リンク先よりご覧下さい。

Community College Spotlight | MOOC opens the door - http://communitycollegespotlight.org/content/mooc-opens-the-door_9981/

コミュニティカレッジにおけるMOOCについての論考

コミュニティカレッジの元学部長によるMOOC(大規模公開オンライン授業)についての論考。少なくともコミュニティカレッジにおいては、MOOCは現状の大学講義を置き換えるものではなく、Flipped Classroomに使える事前課題のような、今ある教育活動に対して補完的に加えることが効果的な手段に過ぎないと述べている。


MOOCs from Here | Inside Higher Ed -
http://www.insidehighered.com/blogs/confessions-community-college-dean/moocs-here

MOOC(大規模公開インライン授業)への批判的な論考


米国カレッジの教授によるMOOC(大規模公開オンライン授業)への批判的な論考。
MOOCは情報技術を使い、教育のコストを削減できると言われているが、教材やプラットフォーム、情報技術が誰にでも手頃で使いやすい状態で手に入れられる状態に変わらない限り、コスト削減は不可能だと反論している。現状、教材やプラットフォームは出版社や企業へ高い費用を払わないと手に入らない。そのため、今のままではMOOCは「見せ物」に過ぎないと断じている。
加えて、高等教育に人件費が多く掛かる問題を情報技術で解決できる、という安直な見方を否定し、テレビやラジオを使った遠隔教育の教訓から学ばなければならないと論じている。

MOOCについてウォッチしている人なら、「The World is..」の引用など唸らさせる記事である。かなり「熱い」文章で驚かさせるが、過去の遠隔教育やeラーニングから得た経験から学ばなくてはならないという意見には、強く共感できる。

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以下引用
Again, pundits, let’s talk. MOOCs are damn interesting, you betcha, but seriously, if you think they’re about to solve the labor-intensivity of higher education tomorrow with no losses or costs in quality, you have a lot of learning to do. Not just about the costs and budgets of higher education today, but about the history of distance learning. Right now you guys sound like the same packs of enthusiastic dunderheads who thought that public-access television, national radio networks, or correspondence courses were going to make conventional universities obsolete via technological magic. And hey, if you’re that keen on the digital, skip the drinks, I’m happy to educate you via email.
以上
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Listen Up You Primitive Screwheads | Easily Distracted - http://blogs.swarthmore.edu/burke/2012/07/20/listen-up-you-primitive-screwheads/

2012年7月12日木曜日

【解説】MOOC(Massive Open Online Courses)の盛り上がりと、見えてきた課題

私の個人ブログに、MOOC(Massive Open Online Courses)についての解説記事を書きました。
EdXやUdacity、CourseraもMOOCの一種と言われます。やる気があれば誰でも学ぶことができる無料の学習コースで、完遂すれば能力を認定するバッジももらえる。MOOCは夢のような学習サービスにも思えますが、多少引いた視点から解説しました。
どうぞご覧下さい。

The Shigeta Way: MOOC(Massive Open Online Courses)の盛り上がりと、見えてきた課題 - http://shige.jamsquare.org/2012/07/moocmassive-open-online-courses.html

2012年6月26日火曜日

カリフォルニア州でサマースクールの開催数が減少


サマースクールは学生の補習や飛び級、大学移動のための単位取得にとって重要であり、米国内でも多くの学生が通っている。

しかしカリフォルニア州では財政運営が困難になっており、州立大学などに与える補助金の額を減らしている。そのため、サマースクールの開講数を減らし支出を削減する動きが広がっている。特にコミュニティカレッジではサマースクールを開講しない大学も現れている。
コミュニティカレッジにおいては、サマースクールで単位を履修しないと2年間で卒業することが難しくなり、在学期間が3年、4年と伸びることになる。これにより、在学中を通じて学生が負担する学費が大幅に増えることも懸念される。

In California, Many Summer Courses Disappear | Inside Higher Ed - http://www.insidehighered.com/quicktakes/2012/05/29/california-many-summer-courses-disappear

College summer school in California largely a thing of the past - latimes.com - http://www.latimes.com/news/local/la-me-adv-college-summer-20120527,0,5544208.story

米国大学の学費の値上げが続く


州により状況は多少異なるが、米国では大学の学費(tuition)の上昇が続けている。
2012年度の学費を調査したところ、州によっては2008年のリーマンショック以降に続いていた学費の値上げが一段落した。バージニア州やコロラド州では、ここ10年で最も値上げ幅が小さくなった。しかしフロリダ州やカリフォルニア州では、今年度も学費が値上げされている。

全米において州の財政は改善しておらず、今後も州からの教育に関する補助金が減ることで、大学の財政運営が困難になり学費の上昇が続くことも懸念される。

Tuition Hikes In Higher Education Around The Country At Public Colleges In 2012 - http://www.huffingtonpost.com/2012/06/25/higher-ed-tuition-hikes-2012_n_1446559.html?ref=topbar#slide=1056950

2012年5月29日火曜日

オンライン上で教育目的に著作物を扱う「フェアユース」の判例

3つの大手学術出版社が、ジョージア州立大学が出版物の著作権を侵害していると訴えた裁判で、裁判所は出版社の訴えをほぼ取り下げる判決を言い渡した。


Long-Awaited Ruling in Copyright Case Mostly Favors Georgia State U.
http://chronicle.com/article/Long-Awaited-Ruling-in/131859/


ジョージア州立大学では、教員がオンラインで著作物を資料配布し、ログインした生徒が閲覧できる仕組み(e-reserve)を導入している。ここでの著作物の扱いが、フェアユース(Fair Use:著作物の教育利用が著作権侵害に当たらないとする抗弁事由)にあてはまるかが問われた。

判決では、99の著作物のうち5点のみが著作権侵害に当たるとされた。判決では、この利用方法が商用ではなく教育目的であること、著作物の性質、著作物をどの程度の割合で利用したか、著作物の利用がその市場価値にどの程度の影響を及ぼしたか、の4点で検討された。

フェアユースは著作物の扱いに関する判断材料でしかなく、教育目的の著作物利用を完全に守る法令ではない。違法性は事例ごとに評価される。今回の判例は、教育目的にオンライン上での著作物の扱い方を示す重要な事例になると思われる。

フェアユースについては、以下リンクに詳しい。

フェアユース - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B9

U.S. Copyright Office - Fair Use
http://www.copyright.gov/fls/fl102.html

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2012/8/21
原告からの差止請求は却下されました。
Judge slaps down injunction request in Georgia State copyright case | Inside Higher Ed - http://www.insidehighered.com/news/2012/08/13/judge-slaps-down-injunction-request-georgia-state-copyright-case


2012年5月7日月曜日

edXの発表:ハーバード大とMITによる「オンライン学習プラットフォーム」



MITとハーバード大が、オンライン教育のパートナーシップ”edX”を発表した。
MITは、先日"MITx"というオンライン教育プログラムを発表していたが、今後MITxはedXの一部として運営されることとなる。近々、ハーバード大も"HarvardX"という教育プログラムを開始するようだ。

edXは、誰でもオンラインで有名大学の授業を受けれるようになるサービスという観点から、OCWに代表されるような、これまで大学が行ってきた活動と同列に見られるかもしれないが、本質は大きく異なる。
edXは、OCWのような教育コンテンツの公開だけでなく、それらを用いてオンラインで教授学習を行うことができる「オンライン学習プラットフォーム」である。具体的には以下のような特徴が挙げられる。
  • 出版モデルから学習環境の提供へ
    OCWのような教育コンテンツの公開に留まらず、授業やテスト、認定証発行など大学で実際に行われる教授学習をオンラインで行える「学習環境」を提供する
  • 大学が設立したオンライン教育専門の非営利団体
    両大学が合計で6千万ドルを出資して、大学の外にオンライン教育を専門に行う非営利組織を作る。学習者は小額の学費を払う。OCWは地域にもよるが、寄付団体や政府による資金援助で立ち上げられることが多かった
  • edXを基盤に、オンライン教育を改善する研究を行う
    両大学はedXを運営しながら、どのように生徒が学び、どのようにテクノロジが効果的な教授をキャンパスとオンラインで手助けするかを研究し、今後の様々な取り組みにフィードバックされる
edXは他にも興味深い特徴を持っているが、発表直後に飯吉先生@京都大学がTweetされたように、まさしく「高等教育2.0」を支える土台(プラットフォーム)としての可能性を持っているように感じる。OCW誕生以降、オープンエデュケーションの実践においては多種多様な試みがなされてきた。edXの発表は一つの大きな転換点として、今後記憶されてゆくように思われる。

Twitter / @iiyoshi: MITとハーバードが次世代オープンエデュケーション・ ...
MITとハーバードが次世代オープンエデュケーション・プロジェクトで大連立。 http://bit.ly/Jp4hAV これで http://www.coursera.org とも相まり、オープンエデュケーションは本格的に新しいフェーズに入った。高等教育 2.0に、また一歩近づく。

edXについては、後日解説記事を掲載します。

edX - Home
http://www.edxonline.org/

Educating Harvard, MIT — and the world | Harvard Gazette
http://news.harvard.edu/gazette/story/2012/05/edx_press_conference/

MIT and Harvard announce edX - MIT News Office
http://web.mit.edu/newsoffice/2012/mit-harvard-edx-announcement-050212.html

両校の代表者による共同記者会見の様子を、以下ビデオで見ることができる。
http://www.ustream.tv/recorded/22290026


2012年4月24日火曜日

無料学習用ビデオKhan Academyを使う学校の事例集

独自の学習用ビデオを無償配信するKhan Academyが、学校で使われている事例を紹介した記事。
12の学校の事例があげられている。そのうち一番目のLos Altos School Districtは、Khan Academyと連携したパイロットプログラムに参加している。ビデオは既存の授業の補修や学習支援に使われているという。今のところKhan Academyを使うことによる学習効果は明らかになってはいないが、報告の多くでは伝統的な教科書と比べて、生徒はより熱心に学習に取り組んでいるとされている。


12 Inspiring Schools Using Khan Academy | Online Universities
http://www.onlineuniversities.com/blog/2012/04/12-inspiring-schools-using-khan-academy/

インフォグラフィック:学生は電子教科書をどう使っているか

米国で電子教科書や電子教材を作っているcoursesmartによる調査。
高校生と大学生を対象とし、テクノロジ利用や電子教科書の利用状況を調査した。

  • 学生の98%がデジタルデバイスを持っていて、73%の学生がテクノロジ無しでは学ぶことができないと答えた。
  • 電子教科書を使う理由として、73%が価格が安いこと、25%がアクセスが容易なことをあげた。
  • 電子教科書の好ましい機能として、52%が検索機能、20%がハイライト機能をあげた。
などのデータがインフォグラフィックで示されている。
下のリンクからインフォグラフィックを見ることができる。


A Look at Students Using eTextbooks (Infographic) - AppNewser
http://www.mediabistro.com/appnewser/a-look-at-students-using-etextbooks-infographic_b21348


CourseSmart - Media
http://www.coursesmart.com/media#pr12

2012年4月7日土曜日

オープンな教育資源(OER)を提供する企業が出版社から提訴される

オープンな教育資源(OER:Open Educational Resources)の普及が進んでいる。高価な教科書の代わりにオープンな教材を無償で手に入れることで、教育コストの大きな部分を占める教科書代を節約することができる。このことで、より多くの人々が教育機会を手に入れることができると期待される反面、これまで教科書を作り続けてきた出版社の権利を侵害しているとの意見もある。

大学で使う教科書の代替となるオープンな教科書を提供しているBoundless Learningが、3つの出版社から提訴された。出版社らは、Boundless Learningが提供する教材を制作する過程で、出版社の教科書を不正に使い著作権を侵害していると主張している。

3 Major Publishers Sue Open-Education Textbook Start-Up - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/3-major-publishers-sue-open-education-textbook-start-up/35994

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(以下引用)

The publishers’ complaint takes issue with the way the upstart produces its open-education textbooks, which Boundless bills as free substitutes for expensive printed material. To gain access to the digital alternatives, students select the traditional books assigned in their classes, and Boundless pulls content from an array of open-education sources to knit together a text that the company claims is as good as the designated book. The company calls this mapping of printed book to open material “alignment”a tactic the complaint said creates a finished product that violates the publishers’ copyrights.

出版社の苦情は、この成り上がり者がオープンな電子教科書を作る方法、すなわちBoundlessが高価な印刷教材に対する無料の代用品を宣伝していることに対して反論している。デジタルの代替教材にアクセスするとき、まず生徒は授業で指定された伝統的な教科書を選択する。すると、Boundlessは大量のオープンな教材からコンテンツを引っ張ってきてテキストを結び合わせ、指定された教科書と同じくらいよいとBoundlessが主張する教材を生成する。この企業が、印刷教材とオープンな教材との「連携」と呼ぶこの方法について、(出版社の)反論では最終的に生成される教材が出版社の著作権を侵害していると主張している。

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(以上引用)

この訴訟では同時に、Boundlessと匿名の10名によるグループ(a group of 10 anonymous)も訴えられている。出版社は、彼らが出版社の著作権を侵害しながらBoundlessのオープンな教材の制作に関わっていると主張している。

これに対し、Boundless Learningは全面対決の構えである。同社のBlogでも出版社の追訴に対し、徹底的に争う姿勢を見せている。

$8M in Funding and a Lawsuit to Boot? Game on. - Boundless
http://blog.boundless.com/post/20543499968/boundless-8-million-lawsuit


オープンな教育資源が作られる目的や過程にもよるが、これらの教材が過去に出版された教科書を手本として作られていることは、想像に難くない。このような教材の著作権をどう考えるかは、専門家の間でも意見が分かれているのが現状である。Boundless Learningのように、ベンチャー企業として出資を受け、オープンな教育資源の普及に商業ベースで取り組む企業体も増えてきている。 企業同士のビジネスモデルの戦いという要素も孕みつつ、オープンな教育資源を作る過程での著作権をどう考えるかについての議論が今後増えることが予想される。

学校でどのタブレットを使うかは、生徒の好みで決まる?

iPadのようなタブレット端末の普及に伴い、学校において生徒一人ひとりにタブレット端末を持たせて授業に使おうとする動きが広がっている。私がICT教育活用アドバイザーとして関わっている西武台新座中学校でも、総合的な学習の時間を皮切りに、一人に一台のiPad2が割り当てられ、校舎内で使うことができるようになっている。

このような取り組みで問題になるのは、学校において誰がどのようにタブレット端末を提供するかということである。現状、学校が校内で使うことを前提に貸与することが多いが、学校において全ての生徒に対してタブレット端末を用意することは、費用的負担を考えると難しい。 そこで、生徒が自分で持っているタブレット端末を学校に持ち込み使うことも想定されている。

このとき問題となるのは、どのタブレット端末を学校として選ぶかという問題だ。一斉授業で使ったり、同一の教材を配布することを考えると、端末の機種は統一されているほうが都合がよい。現状で様々なメーカーからタブレット端末が発売されているが、学校が機種を「選定」するにあたり、生徒がすでに持っていたり、生徒や父兄に人気のある機種を選ぶ方が都合がよいだろう。

この記事では、学校のITマネージャを対象とした調査から、学校でどのタブレットを使うかは、生徒の好みで決まるであろうことを指摘している。

Student Vote Could Give Apple the Edge in Classroom Computing Race -AllThingsD
http://allthingsd.com/20120405/student-vote-could-give-apple-the-edge-in-classroom-computing-race/

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(以下引用)

“The majority of IT managers believed that ‘bring your own device’ policies would be the major driver in achieving a one-to-one ratio,” says Piper Jaffray analyst Gene Munster. “Given iPad’s current majority market share among teens (70 percent of teen tablet owners owned iPads), we expect iPad would be the device most likely desired by students in choosing their own devices. … Ultimately we expect school ‘bring your own device’ policies paired with the popularity of iPads among teens will lead to the iPad owning the educational tablet market.”

「ITマネージャの大部分は、「自分でデバイスを持ちこむ」ポリシーは「one-to-one(生徒それぞれがデバイスを持つこと)」を実現するための主な後押しになるだろうと信じていた」と、Piper JaffrayのアナリストであるGene Munsterは言う。「iPadが現状、市場シェアを主な部分を占めていること(10代の70%が持っているタブレットはiPad)を踏まえると、iPadは生徒が自分のものとして選ぶデバイスとして最も望まれるもののようである…。究極的に、我々は「自分でデバイスを持ちこむ」ポリシーは10代におけるiPadの人気と合わさって、iPadが教育のタブレット市場を勝ち取ることにつながるだろう。」

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(以上引用)

iPadのようなiOSデバイスは、人気があるだけでなく価格も下がりはじめている。先日新しいiPadが発表された時、iPad2が399ドルに価格を下げて継続販売された。また米国ではiPhone4は99ドル、 3GSは無料で販売されている(通信事業者との契約ベース)。
http://store.apple.com/us/browse/home/shop_iphone/family/iphone

これまで学校においてICT機器としてPCを使う場合は、パソコン教室などに置かれた端末を生徒が共有して使っていた。また、WindowsなどのOS自体が持つ互換性の高さにより、特にウェブを使った授業を行う場合には、機種に依存して使い方が変わることも少なかった。
しかし、学校においてタブレット端末を使う場合、タブレット端末のOS自体が携帯電話のように一人が一台の端末を専有するように設計されていて、共有することが難しい。また、OSに依存したアプリケーションを使うことも多いため、どのタブレットを選ぶかで、授業で使える教材が限られてしまう。

タブレット端末を学校で使うときには、これまで学校が培ってきたICT機器を扱うノウハウでは間に合わず、新たに利用方法やルールを作り直す必要がある。生徒が端末を持ち込んで授業に使う場合、学校のネットワークで生徒それぞれの端末が共存するため、セキュリティポリシーを見なおす必要もあるだろう。私自身も関わっている中学校において悩んでいる課題でもあるが、タブレット端末を学校で有効活用することについては、解決すべき問題が山積している状況だといえる。

2012年3月7日水曜日

インフォーマルな学びの成果を示す「認定バッジ」の未来

オンラインでのインフォーマルな学びの成果を示す「認定バッジ」についての論評。本サイトでも、Mozilla Badge Projectに代表されるオンライン認定バッジについては、以前取り上げた。


OpenEducation Update JP: オンライン学習グループが発行する「認定バッジ」
http://oedupdate.jamsquare.org/2012/01/blog-post_11.html

大学の学位とは異なり、オンラインでインフォーマルに学ぶにあたり、学びの「裏付け」となるものは出しにくい。そのため、学習の成果である能力や技術があることを証明する「認定証」を出すことが、それらの成果によって仕事や就職の機会を得るために役立つと考えられている。

現状、このような認定バッジを、大学の学位など「正式(formal)」な認定と比べてどのように扱うかは、雇用者側の判断に委ねられている。オープンエデュケーションを社会との「つながり」を持ちながら拡げるためには、このような「認定バッジ」が学位などと近いレベルで扱われることが重要となる。

学位や学歴によって働き手の比較が行われることは、市場における「シグナリング」の考え方に近い。インフォーマル学習のような非正規の学びは、学習成果のシグナルとしては十分な認知を得ていないのが実情である。しかし一方で、いわゆる「学歴社会」と呼ばれるような、正規の教育機関による学位が安定したシグナルとして発揮される状況も、近年変化しつつある。

遠くない将来、「フォーマルな学び」と「インフォーマルな学び」が、よい形での緊張関係を持ちながら補完し合う関係になることも考えられる。より多様で、変化を許容するキャリア設計が求められるこれからの職場環境にも、このような状況は合致している。オープンエデュケーションが、単なる「閉じられた」個人の学びで完結するのではなく、より社会と接続された形での成果につながることを期待したい。


Will Informal Learning Carry the Same Weight as College Degrees? | MindShift
http://mindshift.kqed.org/2011/12/will-digital-badges-carry-the-same-weight-as-college-degrees/


2012年2月28日火曜日

テクノロジを講義に積極的に取り入れた教授の「変容」

A Tech-Happy Professor Reboots After Hearing His Teaching Advice Isn't Working - Technology - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/A-Tech-Happy-Professor-Reboots/130741/


テクノロジを積極的に講義へ取り入れてきた大学教授の「変容」をとりあげた記事。
Wesch教授はこれまでYouTubeやTwitterを大学の講義に取り入れ、成功してきた。彼の講義の模様は以下動画に詳しい。



しかし、Wesch教授は他の教授が自分の講義方法をまねても、うまくいかないことに気づきはじめた。彼はある時、彼はテクノロジを全く使わずとも、生徒と良好な関係性を築き素晴らしい講義をしている教授の講義を見学し、感銘を受ける。その結果、テクノロジをどう使うかではなく、どのように教師と生徒をつなげるかが大事であり、教師からの"message"である知識そのものよりも、"messenger"である教師自身の興奮や情熱が、学生を刺激することに気がついた。

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(以下引用)

...Mr. Wesch is not swearing off technology—he still believes you can teach well with YouTube and Twitter. But at a time when using more interactive tools to replace the lecture appears to be gaining widespread acceptance, he has a new message. It doesn't matter what method you use if you do not first focus on one intangible factor: the bond between professor and student.

…Wesch教授はテクノロジを断ってはいない。彼はいまだYouTubeやTwitterを使うことでよりよく教えることができると信じている。しかし、講義にとって変わるインタラクティブツールを使うことがより受け入れられるようになった今、彼は新しいメッセージを持っている。まずはじめに、ある漠然とした要素 ー教授と生徒とのつながりー に着目しなければ、どんな方法を使うかなど関係のないことを。

(中略)

...At its best, Mr. Wesch believes that interactive technology—and other methods to create more active experiences in the classroom—can be used to forge that kind of relationship between teachers and students where professors nurture rather than talk down to students.

…Wesch教授は、インタラクティブなテクノロジーや、教室でより能動的な経験を作り出す方法というのは、教授が生徒に対し分かりやすい言葉で話すことと比べて、教授が育む生徒とのある種の関係性を築くために、多少使うことができるというのがせいぜいだと信じている。

(以上引用)
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現在サバティカルに入っているWesch教授は、彼の考えを著した本を書いている。

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彼の最新の考えが反映された本が世に出されるのが楽しみだ。
彼の教育とテクノロジについての考え方は、以下TEDxのレクチャにも詳しい。



2012年2月13日月曜日

MITxが参加者募集を開始:今季は認定証を無料提供


MITのオンライン学習プログラム「MITx」が履修者の募集を始めた。試行的に公開される「6.002x: Circuits and Electronics」は3月から6月まで開かれ、エンジニアが電子機器を開発する上での基礎的な内容が提供される。

参加する生徒は、宿題やテスト、ゲームスタイルの「バーチャルラボ」での活動を行い、全て「機械的」に評価される。受講した生徒には認定証が与えられる。今回はパイロット講義となるため、認定証は無料で与えられる。秋以降の講義では有料となる予定。

以下記事内に履修ページへのリンクがあります。ご興味を持たれた方は、チャレンジされてはいかがでしょうか。

MITx Opens Enrollment for First Interactive Online Course; Pilot Certificates Will Be Free - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/mitx-opens-enrollment-for-first-interactive-online-course-pilot-certificates-will-be-free/35396


MITx 6.002
http://mitx.mit.edu/

無料のオンライン講義を公開する新興企業


オンライン上で無料で講義を公開する取り組みは、大学によるオープンコースウェア(OpenCourseWare: OCW)が代表的だが、最近では大学出身者とベンチャー起業家が組んだ新興企業も参加しはじめた。

先日紹介したスタンフォード大学のオンライン講義「人工知能入門」を開いたSebastian Thurn教授は、大学のテニュア職を離れ、オンライン講義を無償で公開するサイト「Udacity」を立ち上げた。そのほか、同じくスタンフォード大でオンライン講義を開いたNg教授らは「Coursera」を開いた。

学生が立ち上げた例として、「GoodSemester」がある。これは登録すれば誰でもオンラインで講義を開講できる「ラーニングプラットフォーム」であり、サイト上では学び手にも教え手にもなることができる。将来的には、大学との単位互換を持たせることも目指されている。

「Udemy」は13人の教員により立ち上げられたサイトで、テクノロジーやビジネスに関する教材や講義ビデオを視聴できる。講義は一部有料となっている。

どのような分野の講義にニーズが集まるか、どのようにビジネスモデルを創り上げるのか、など、興味は尽きない。今後の動向に注目したい。

4 Start-Ups Are Offering Free Online Courses - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education

http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/4-start-ups-are-offering-free-online-courses/35355

2012年2月6日月曜日

スタンフォード大学のオンライン講義「人工知能入門」の解説

スタンフォード大学から公開されたオンライン講義「人工知能入門(Introduction to Artificial Intelligence)」についての解説記事。
この講義は無料で開講され、開講から1時間で5000人が登録するほどの人気を博し、結果として16万人以上が受講した。この講義を担当したThrun教授の同僚であるAndrew Ng教授は「Machine Learning」という別の講義を無料で開講し、こちらも10万人以上が受講した。

このような講義に対し修了証を与えるかについて、スタンフォード大学では議論が続いているが、今のところ大学が単位を与えることはないとされている。スタンフォード大学の工学部長James Plummerは、テクノロジを活用することは教育コストを大きく下げ、より多くの人々に教育機会を与えうると話す。これまでもスタンフォード大学ではオンライン学習や遠隔学習が続けられてきたが、今やテクノロジは「屈曲点(Inflection Point)」を超えた(訳注:新たな段階に入った、の意か)と話している。

先日、「Artificial Intelligence」を開講したThrun教授は大学のテニュア職を辞め、3人のロボット研究者やエンジニアとともに「Udacity」というベンチャーを立ち上げた。Udacityでは検索エンジンの制作やロボットカーのプログラミングなどの講義が開講される。大学からスピンアウトした珍しい形の教育活動として、今後注目される。

□元となる解説記事
Lessons and Legacies from Stanford’s Free Online Classes | MindShift
http://mindshift.kqed.org/2012/01/legacy-and-lessons-from-stanfords-free-online-classes/

□スタンフォード大学で公開された講義
Intro to AI - Course overview
https://www.ai-class.com/overview

Machine Learning
http://www.ml-class.org/course/auth/welcome

□Thrun教授らが立ち上げたベンチャー「Udacity」
Udacity - Educating the 21st Century
http://www.udacity.com/

□Thrun教授がテニュア職を辞めたことを紹介する記事
Professor quits Stanford to teach online - ITWeb Press Office
http://www.itweb.co.za/office/itweb/PressRelease.php?StoryID=226371

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追記(2012.2..10)
Thurn教授はUdacityの立ち上げに伴い、スタンフォード大のテニュア職を辞めたが、同大学にはテニュアでない研究教授として在籍し続けるとのこと。以下はChronicle.comの訂正記事。

Stanford Professor Gives Up Teaching Position, Hopes to Reach 500,000 Students at Online Start-Up - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/stanford-professor-gives-up-teaching-position-hopes-to-reach-500000-students-at-online-start-up/35135

オープンコースウェアの活動をまとめたインフォグラフィック

オープンコースウェア(OpenCourseWare :OCW)は大学発のオープンエデュケーションとして代表的な活動の一つです。大学の講義で使われる教材やシラバス、講義ビデオをインターネット上に無償で公開しています。インフォグラフィックスにて、オープンコースウェアの歴史と活動の広がりをわかりやすく解説しています。先日発表されたMITxについても紹介されています。

Edudemic » How OpenCourseWare Has Changed Education

http://edudemic.com/2012/01/infographic-opencourseware-has-changed-education/

2012年1月31日火曜日

【解説】新しいiBooksとiTunes Uがもたらすもの(2)


私の個人ブログに、iBooksとiTunes Uの発表を受けた解説記事を掲載しましたので、紹介させて頂きます。
第2回として、両者がもたらす効果と、大学にとっての課題について考えました。

The Shigeta Way: 【解説】新しいiBooksとiTunes Uがもたらすもの(2)
http://shige.jamsquare.org/2012/01/ibooksitunes-u2.html

2012年1月27日金曜日

スティーブ・ジョブズが語る未来の学び

NeXTにいたころのスティーブ・ジョブズが、未来の学びについて語る貴重な映像。

各地の図書館を議会図書館とネットワークでつないでデジタル化した資料を共有すること、ピンポンゲームを例にゲームから原理を学ばせる教育をすること、シミュレーションで過去の歴史的状況を再現することなど、時代の先を見越した提案を繰り広げている。

ジョブズの考える未来の学習とは ≪ maclalala2 -
http://maclalala2.wordpress.com/2012/01/04/%e3%82%b8%e3%83%a7%e3%83%96%e3%82%ba%e3%81%ae%e8%80%83%e3%81%88%e3%82%8b%e6%9c%aa%e6%9d%a5%e3%81%ae%e5%ad%a6%e7%bf%92%e3%81%a8%e3%81%af/



ビデオの冒頭でスティーブと話しているのは、なんとスチュワート・ブランド!
ご存知のとおり、彼は1960年代から「Whole Earth Catalog」などを出版し、カウンターカルチャーの旗手として活躍してきた。二人の楽しそうな表情が印象的だ。

ステュワート・ブランドの活躍について興味のある方は、以下書籍を参考にされたい。米国の内在原理を理解する上でも、大変参考となる一冊である。

Amazon.co.jp: ウェブ×ソーシャル×アメリカ <全球時代>の構想力 (講談社現代新書): 池田 純一: 本
http://www.amazon.co.jp/dp/4062880938/

2012年1月26日木曜日

英国のICT教育カリキュラムが刷新、プログラミングを重視

英国の教育大臣がICT教育のカリキュラムの刷新を発表した。ワードやエクセルの使い方を教えるような既存のカリキュラムでは、現代社会で求められる能力を身につけられず、子どもも退屈する。11才で2Dアニメーション描画、高校で携帯向けアプリ制作などプログラミングを学ぶなど、時代に合わせたカリキュラムに変更する。

新しいカリキュラムで必要となる教材は無償でWeb上で公開され、既存のカリキュラムの内容も、参考資料としてWeb上で閲覧できる。

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School ICT Lessons To Be Scrapped, Says Michael Gove
http://www.huffingtonpost.co.uk/2012/01/11/ict-lessons-to-be-scrapped_n_1198492.html?1326274546&ref=uk-universities-education

2012年1月24日火曜日

米国においてカレッジに対する補助金が減少

全米の調査で、州からカレッジへの補助金が2011年から2012年にかけて、平均7.6%低下したとの調査結果。落ち込みの大きな要因として、連邦政府経由の補助金の期限が満了したことが考えられる。

リンク先に州ごとの比較図がある。西部と一部の南部において落ち込みが大きいことがわかる。

State Support For Higher Education Falls 7.6% in 2012 Fiscal Year - Government - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/article-content/130414/

フィンランドの学校が注目に値する6つの理由


PISA調査でも良好な結果を示しているフィンランドの教育が、米国でも注目されている。
フィンランドの教育関係者への聞き取りから、フィンランドの学校の特徴を6つあげている。

  • 公立学校がない
  • 学校管理者も授業を持つ
  • テスト結果を重視しない
  • 教師が尊敬される専門職である
  • 社会が教師を信頼している
  • 移民の生徒を手厚く支援している

加えて米国と比較して、教育に対して競争ではなく、協力や共有を重視する考え方を国全体で持っていることを、違いとして指摘している。


What’s So Great About Schools in Finland? | MindShift
http://mindshift.kqed.org/2012/01/whats-so-great-about-schools-in-finland/

2012年1月22日日曜日

【解説】新しいiBooksとiTunes Uがもたらすもの(1)

私の個人ブログに、iBooksとiTunes Uの発表を受けた解説記事を掲載しましたので、紹介させて頂きます。
2回に分け、第一回として、教師や生徒、学校と大学に与える効果について考えました。

The Shigeta Way: 【解説】新しいiBooksとiTunes Uがもたらすもの(1)
http://shige.jamsquare.org/2012/01/ibooksitunes-u1.html

2012年1月20日金曜日

Appleが新しいiBooks、iBookstore、iTunes Uを発表


Appleが19日ニューヨークで開いたイベントで、新製品の発表会を行った。
詳細はプレスリリース、IT系情報サイトが詳しい。

Apple - Press Info - Apple Reinvents Textbooks with iBooks 2 for iPad
http://www.apple.com/pr/library/2012/01/19Apple-Reinvents-Textbooks-with-iBooks-2-for-iPad.html


Apple - Press Info - Apple Unveils All-New iTunes U App for iPad, iPhone & iPod touch
http://www.apple.com/pr/library/2012/01/19Apple-Unveils-All-New-iTunes-U-App-for-iPad-iPhone-iPod-touch.html


Apple、iPad向け電子書籍閲覧アプリ「iBooks 2」をリリース - ニュース:ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120120/378941/

アップル、一新された「iTunes U」アプリをリリース
http://www.computerworld.jp/contents/201512


今回の発表内容は、大きく2つに分けられる。

1)iBooks関連

  • iBooks2を発表。「動的で魅力的、インタラクティブ(dynamic, engaging and truly interactive)」な電子教科書のフォーマットに対応
  • Mifflin Harcourt、 McGraw-Hill、PearsonがiBookstoreにて電子教科書を販売
  • iBooksで閲覧可能な電子教科書を作成できるMacアプリ「iBooks Author」を発表

2)iTunes U関連

  • iTunes Uを刷新。ビデオだけでなく、講義概要やシラバス、配布資料もまとめて配布できる「Course Pack」を用意


それぞれ、詳細は以下の通りである。

1)iBooks関連
iBooksに対応する書籍フォーマットが増えた。ePubとPDFに加え、より表現力の高いiBooks専用フォーマット(拡張子は".ibooks"。iBook Authorが生成するのは".iba")が開発された。ibaファイルを生成するiBook Authorが無料で配布され、比較的容易にibooksファイルを作ることができる。ibooksファイルはePubとの互換性は限定的である。

ibooksファイルは、今後電子書籍の代表的なフォーマットになる可能性がある。発表が教育関連イベントということで「電子教科書(educational textbook: e-textbook)」と強調されていたが、教育用途でない電子書籍を作ることも、もちろん可能である。

2)iTunes関連
「Course Pack」の導入によって、オープンコースウェア(OpenCourseWare:OCW)にかなり近い構成で、講義に関連する教材をまとめて提供できるようになった。これまでiTunes UではビデオとePubファイルしか提供できず、シラバス含めた教材を構造化して見せられなかった。新しいiTunes Uの機能を使えば、OCWの機能とほぼ同じものをiTunes U上に設けることができる。
また、iTunes Uは大学だけでなく初中等教育機関(現状、教育委員会レベルに限られる)でもコンテンツが提供できるようになった。


後日、解説記事を掲載する予定です。

2012年1月19日木曜日

電子教科書の一括購入で米国5大学が連携

コーネル大学、カリフォルニア大学バークレー校など米国5大学がMcGraw-Hillの電子教科書を一括購入することで合意した。

電子教科書を導入する利点の一つは、学費の大きな部分を占める教科書購入代を削減できることである。しかし現状、費用削減の効果は限られるとの分析もある。これについては以前本サイトでも掲載した(EDUCAUSE Quarterlyの調査)。

OpenEducation Update JP: 電子教科書のコスト削減効果についての調査 http://oedupdate.jamsquare.org/2012/01/e-textbooks-saved-many-students-only-1.html


ソフトウェアのアカデミックライセンス購入に近い考え方ともいえる。
教育コストを抑えることを目指す取り組みとして注目したい。

5 Colleges to Test Bulk-Purchasing of e-Textbooks - Technology - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/5-Colleges-to-Test/130373/?sid=wc&utm_source=wc&utm_medium=en

MentorMob:教材になるウェブページの「プレイリスト」

MentorMobは、特定のテーマに基づいてウェブページを順番に閲覧できる「プレイリスト」を作成し、簡易に教材を作ることができるウェブサイト。サイト上でWikipediaやYoutubeを順序立てて並べたプレイリストをユーザ間で共有できる。

「教材」と呼ぶにはざっくりしたものだが、あるテーマについての情報源をまとめるポートフォリオとしても使えるかもしれない。

ウェブ上に散在するOER(オープンな教育資源)を「プレイリスト」のようなリンクを作りまとめる取り組みは、カリフォルニア州カレッジの電子教科書プロジェクトにも見られる。

The Shigeta Way: 【記事解説】カリフォルニア州で進む、電子教科書を使った教育 http://shige.jamsquare.org/2010/12/blog-post.html

OERの普及が進むに従い、ウェブ上に散在するOERを学習目標に応じてリンクさせることで効果的に見つけさせる情報基盤(プラットフォーム)の重要性が増している。

MentorMob - Learn What You Want, Teach What You Love - MentorMob
http://www.mentormob.com/splash

2012年1月17日火曜日

美術史のウェブ教材「SmartHistory」

美術史の教科書や自学自習の資料に使える「ウェブブック」。ビデオを使って年代やスタイル、画家ごとに美術史を解説する。ビデオでは絵画を静止画で見せながら、音声で解説が加えられる。

ビデオをいくつか見てみたが、大変わかりやすい(英語であることをのぞいて)。美術館へ行く前に予習するのにもいいかもしれない。映像の特徴を上手に生かした電子教材であり、電子教科書の素材にも使えるだろう。

2011年10月にKhan Academyと統合された。Khan Academyの勢いを感じる。

Smarthistory: a multimedia web-book about art and art history
http://smarthistory.khanacademy.org/

2012年1月16日月曜日

苅谷剛彦「『小さな政府』に高等教育は可能か -イギリスから見た日本の大学の問題点-」

今月の「中央公論」に寄せられた、苅谷先生(教育社会学)の寄稿。教育を市場原理に任せきることは近い将来の「合理的な選択」は生み出すが、中長期的には必ずしも望ましい結果にはつながらない。教育のような中長期的な営みであれば、その弊害はさらに強まる。

知的にしか解決できない課題に直面する中で、大学になし得ることが多くあるとする。このとき、社会に貢献するために大学人に求められる「知性」とはどのようなものであろうか?深く考えさせられる。

---
(以下引用)

…だから、大学教育だけを嘆いても始まらない。公的資金を最小限にした「小さな政府」にしておいて市場に任せれば、現状の大学教育市場、人材形成市場を前提にした合理的な選択がとられるのが前提である。変えるためのインセンティブがないのだから、その構造が大きく変わるまで、少数の先端事例を除けば、じり貧になりつつも現状が続くのだろう。あるいは企業を含め日本全体が、全体としてみればマイナスを生み続けている、その不合理さから集合的に脱することができるのか。

大学になし得ること、やるべきことは山積している。日本も世界も、知的にしか解決できない課題に直面しているからだ。問われているのは、日本という社会そのものである。

(苅谷剛彦「『小さな政府』に高等教育は可能か -イギリスから見た日本の大学の問題点-」中央公論 2012.2)
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※2012.1.16
苅谷先生のお名前を誤記しており、訂正致しました。

Facebookに故人の学生を登録する試み

大学の図書館員が故人の学生をFacebookに登録し、今の学生にインターネットやソーシャルメディアがなかった頃の学生生活を知ってもらおうとしていた。故人の家族にも了解を取った上での取り組みで、学生からのコメントも数多く寄せられていたが、Facebook側により規約に従い削除された。

現在、この学生のプロフィールをFacebookページとして再度立ち上げようとしているが、過去に寄せられたコメントを復帰させることはできない。故人をFacebookに登録したことに問題はあったかもしれないが、Facebook上で故人の人生をタイムシフトして現在の時間と同期させることで、昔の生活をより生き生きと体感できそうである。新しい伝記の楽しみ方として、リアルタイム性を持つメディアの使い方の一つになりうるかもしれない。

Facebook Deletes University's History Project for Violating Social Network's Rules - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/facebook-deletes-universitys-history-project-for-violating-social-networks-rules/34918

2012年1月13日金曜日

大学のリサイクルPCを被災地に提供するプロジェクト

マイクロソフト、大学ICT推進協議会などが、大学で保有しているPCを再生して、被災地に無償で提供するプログラムを開始。マイクロソフトはソフトウェアを提供。

「東日本大震災 被災中小企業復興支援 再生PC寄贈プロジェクト」を開始 — 大学ICT推進協議会
http://axies.jp/ja/news/2012-01-11

オンライン学習プログラム「Openness in Education」

オープンエデュケーションのエバンジェリストDavid Willeyが、「Openness in Education(教育の開放?)」をオンラインで開講。OERやオープンアクセスなど、教育のオープン化に関わるトピックを幅広く取り上げる。自由に参加でき、参加者はブログを立ち上げ意見や質問を投稿する。Mozilla Open Badge Structureを用いた認定証(Badge)も与えられる。

参加はしなくとも、学習のためページ内に設けられた記事やビデオを見るだけでも参考になる。興味をお持ちの方は、参加されてはいかがだろうか。

Welcome
http://openeducation.us/welcome

2012年1月12日木曜日

来週のアップルイベントは教育関連

来週ニューヨークで開かれるアップルのイベントは、教育関連であると報道陣に伝えられている。

iTunes UやiBookでの教科書配布、ePub関連との噂も飛び交っている。

様々な教科書会社やカレッジ等によるプロジェクトにより、電子教科書の質、量は急速に増えつつあるが、それらを統合して使えるようにする土台となるシステム「プラットフォーム」が整っていないことが課題になっている。アップルの提案が有効なソリューションとなるのか、発表に期待したい。

アップル、1月19日に「教育イベント」を開催へ - CNET Japan
http://m.japan.cnet.com/#story,35013000

「教育クラウド」のメリット・デメリット

クラウドコンピューティングを教育向けに特化し、校務処理・成績処理・グループウェア・デジタル教材に使う「教育クラウド」。

震災など自然災害によるデータ消失や機器の維持コスト削減に効果が大きい。
一方で、初期投資や個人情報の保護、既存の帳票類の移行方法や紙ベースの教材の扱い方に課題も見られる。

「教育クラウド」が学校情報を救う:野間俊彦「現役副校長が語るIT教育の今」 - http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20111125/1039217//

2012年1月11日水曜日

電子書籍リーダー Nook が NY Times年間購読で無料に

米国の大手書店Barnes&Nobleの電子書籍Nook。下位機種のNook Simple TouchがNYTimesの一年間契約(月19.99ドル)により無料で手に入る。

電子書籍端末を普及させるビジネスモデルの一つになり得そうである。

B&N の電子書籍リーダー Nook が NY Times年間購読で無料に -- Engadget Japanese
http://japanese.engadget.com/2012/01/09/bandn-nook-ny-times/

オンライン学習グループが発行する「認定バッジ」


インターネット上で学習者が集まり学び教えあう、オンラインのスタディグループが広がっている。最近、これらのサイトが学習により身についた能力を認定する「バッジ」を発行し、スタディグループでの学びを認証する仕組みを導入し始めている。

Khan AcademyやOpenStudyでは既に導入されており、最近話題となったMITxでも、達成度に応じてMITからの何らかの認定証が発行される予定である。Firefoxの開発で知られるMozillaも同様の仕組みを提唱している。

学習者がバッジを取りにくいような困難な学習にチャレンジしなくなることを危惧する見方もある。一方で、求められる職能の変化が激しい労働市場においては、就職希望者がオンラインで学習しバッジを得ることで、より有利な就職機会を得られる可能性もあると考えられている。


'Badges' Earned Online Pose Challenge to Traditional College Diplomas - College 2.0 - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/Badges-Earned-Online-Pose/130241/?sid=cc&utm_source=cc&utm_medium=en#top

2012年1月10日火曜日

"Open Education"の単語は学術分野でどう扱われてきたか

ERICの検索結果を参考に、学術分野において"Open Education"という単語がどう扱われてきたかを検討した。結果、1970年前後に欧米を発祥とした「Open Education "System"(教育システムのオープン化)」の運動が初中等教育現場で活発となり、いわゆるオープンスクール運動や学校外における教育実践が盛んに行われていたことがわかった。学術雑誌においても1970年前半をピークに概念提唱や実践報告が多く行われたが、学習効果に課題も見られ、70年代後半には下火になったようである。

当時提唱された「教育システムのオープン化」と教育技術(Educational Technology)の利用は、相容れないものと考えられていたようだが、一部で両者の融合にメリットがあるとの論も唱えられていた。

Resnick, Lauren B. (1972) Open Education: Some Tasks for Technology, Educational Technology, 12, 1, 70-76, Jan 72


近年見られるような、テクノロジーを活用した教育のオープン化の議論が"Open Education"の単語を伴ってなされるようになったのは、以下論説が最初のようである。

Minds on Fire: Open Education, the Long Tail, and Learning 2.0 (2008) John Seely Brown and Richard P. Adler. EDUCAUSE Review.


ちなみに、Google Ngram Viewerを用いて"Open Education"の単語がある書籍を調べると、1970年前後に大きなピークがあることがわかる。この時期にOpen Educationについて紹介した書籍が数多く発行された。

Google Ngram Viewer -- Open Education

http://books.google.com/ngrams/graph?content=open+education&year_start=1800&year_end=2010&corpus=0&smoothing=3

新しいOLPCが教室でiPadに勝る5つの理由

先日発表された新しいOLPC(One Laptop Per Child:いわゆる100ドルPC)をiPadと比較したレビュー。
iPadより丈夫で安価、使いやすく太陽電池も付いてフィールドワーク向き、iPadより優れたスクリーン。
要注目。
5 Reasons The OLPC Tablet Could Replace Classroom iPads | Edudemic
http://edudemic.com/2012/01/olpc-tablet/

2012年1月6日金曜日

スタンフォード大学 'Flipped Classroom' を巡る議論

スタンフォード大学の授業 “CS229A: Applied Machine Learning”で取り入れられた"Flipped learning"をめぐる話題。

Debating the 'Flipped Classroom' at Stanford - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/debating-the-flipped-classroom-at-stanford/34811?sid=wc&utm_source=wc&utm_medium=en

アジア各国で増える研究開発投資

研究開発投資が最も増加したトップ5カ国に、中国・マレーシア・タイ・シンガポール・台湾が並ぶ。米国でも増額しているが、アジア各国では更に伸びている。

Asia Will Power Growth in Research and Development This Year - Planet Academe - The Chronicle of Higher Education

http://chronicle.com/blogs/planet/2012/01/04/asia-will-power-growth-in-research-and-development-this-year/?sid=wc&utm_source=wc&utm_medium=en

2012年1月5日木曜日

電子教科書のコスト削減効果についての調査

EDUCAUSE Quarterleyに掲載された調査。Daytona state college(FL)の事例。
学生は電子教科書の導入によって教科書代をほとんど削減できていないとの結果。

29%の学生が教科書代が高いため教科書を買わず、約25%の学生が履修数を減らしている。
学生の半数が価格や使い勝手など電子教科書に不満を持っているが、教科書を安く手に入れる手段となるならば使いたいと考えている。

Twenty-nine percent of respondents said they had avoided purchasing a textbook because of its high cost at least once, and nearly a quarter of respondents said they actually took fewer credit hours in a semester because of the cost burden of books.

E-Textbooks Saved Many Students Only $1 - Wired Campus - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/new-study-shows-e-textbooks-saved-many-students-only-1/34793

A Study of Four Textbook Distribution Models (EDUCAUSE Quarterly) | EDUCAUSE http://www.educause.edu/EDUCAUSE+Quarterly/EDUCAUSEQuarterlyMagazineVolum/AStudyofFourTextbookDistributi/242784

IIT(インド工科大学)がMIT OCWに教育コンテンツを提供

IITで制作したビデオ教材がiTunes Store(iTunes U?)で提供される。Times of Indiaでも報じられているが、謎が多い。

インドでは"Sakshat"と呼ばれるウェブサイトで、教師・学生向けの教材やより講義形式に近いビデオ教材が提供されている。一部ビデオを見てみたが、オープニングもインドらしい仕上がりである。

Indian Institutes of Technology to Join MIT's OpenCourseWare Effort - The Global Ticker - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/global/indian-institutes-of-technology-to-join-mits-opencourseware-effort/31752

Now, classroom content of IITs can be accessed by MIT students - Times Of India http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2012-01-02/news/30580988_1_nptel-iits-technology-enhanced-learning

Sakshat http://www.sakshat.ac.in/

大学サービスの「ワンストップ・モデル」の試行

バージニア大学(Virginia Commonwealth University)の事例。大学の窓口を一箇所にまとめる「ワンストップ・ショップ」を設置し、利便性を高めることを狙う。

One-Stop Shops for Student Services Aim to Eliminate Hassle - Students - The Chronicle of Higher Education -
http://chronicle.com/article/One-Stop-Shops-for-Student/130069/

Homeschool World: ホームスクールの情報サイト

両親やチューターによる家庭での学習「ホームスクール」に関わる人々のコミュニティサイト。カリキュラムや教材、フォーラムも用意される。

Homeschool World - "The World's Most Visited Homeschool Site" -
http://www.home-school.com/

今月のアップルイベントは教育関連?

iTunes UやiBook Storeの刷新も予想される。電子教科書の市場は今後拡大が予想され、アップルの動きが注目される。

Apple's January Media Event to Involve Digital Textbooks and Education? - MacRumors.com
http://www.macrumors.com/2012/01/03/apples-january-media-event-to-involve-digital-textbooks-and-education/

米国カレッジの専攻による就職率の違い

保健や教育は就職率が高く、建築は低い。全般的に高校のみ卒業と比べると、就職率は高くなる。

Unemployment Varies by College Major, Study Finds - Students - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/Unemployment-Varies-by-College/130212/?sid=gn&utm_source=gn&utm_medium=en

大地震後のハイチ高等教育の現状

国の方針転換により初中等教育に力が入れられていること、予算の不足などの理由により、大学の教育環境は十分に復活していない。

Haitian Universities Struggle to Rebound - Global - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/Haitian-Universities-Struggle/130170/?sid=gn&utm_source=gn&utm_medium=en

営利・非営利大学の卒業生比較

営利大学と非営利大学の卒業生の比較研究。営利大学の学生の方が学生の定着率が高く卒業年月も短いが、卒業後の就職率や給料は低くなる傾向がある。ハーバード大学の経済学者らによる研究結果。

Study Finds Mixed Results for Students Attending For-Profit Colleges - The Ticker - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/ticker/study-finds-mixed-results-for-students-attending-for-profit-colleges/39474?sid=wc&utm_source=wc&utm_medium=en

The For-Profit Postsecondary School Sector: Nimble Critters or Agile Predators? http://www.nber.org/papers/w17710

2012年1月3日火曜日

中学生の電子教科書に対する意見(NYTimes)

米国の中学2年生による意見。大学にとどまらず、早晩中学校高校でも電子教科書を使うようになりそうだが、コンピューターをもっていない学生も多い。電子教科書を読める端末を持っているかどうかで学びの成功が左右されてしまうことを危惧している。

Letters - A Student’s View on E-Textbooks - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2011/12/25/business/letters-a-students-view-on-e-textbooks.html?_r=1&smid=tw-nytimesbusiness&seid=auto

2011 Online Learning

https://www.chronicle-store.com/Store/ProductDetails.aspx?CO=CQ&ID=78602&cid=ol_nlb_wc

ミネソタ大学で学生の講義収録を制限

ミネソタ大学では、学生が講義を自主的に録画・編集してLMSにアップロードしたことが問題となり、講義収録を制限するルールが議論されている。
当初、学生による自主的な講義収録を全面的に禁止するルールが考案されていたが、現在、収録される全員が同意すれば許可されるルールが検討されている。

U. of Missouri Softens Limits on Recording of Lectures - The Ticker - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/blogs/ticker/u-of-missouri-softens-limits-on-recording-of-lectures/39440?sid=wc&utm_source=wc&utm_medium=en

2012年1月2日月曜日

学校にもIT:日本経済新聞


学校の教育現場にIT(情報技術)を導入する動きが始まっている。個別の対応がしやすくなり、IT機器を使いこなす力も身に付くとの期待がある。一方、多額の財源や、視力低下など健康への影響を心配する声もある。2012年は国が選んだモデル校で授業が本格化する。学びの改革には多くの課題克服が必要になる。


授業で使用される電子黒板(東京都葛飾区の本田小)
国は20年までに全児童生徒に米アップルのiPad(アイパッド)のような携帯型の情報端末を1台ずつ配る目標を掲げている。政府のIT戦略本部が10年6月に決めた。

実現を担うのは総務省と文部科学省だ。総務省が情報端末や通信環境の整備、文科省が教材開発や教員の支援を受け持つ。

両省はモデル校となる小中学校と特別支援学校を20校選定。一部で情報端末を使った授業を始めた。12年はモデル校で使うデジタル教材が出そろい、教育効果の実証研究が本格的に行われる。

高等教育にもIT化の波が押し寄せる。その一つが大学の講義をインターネットで無償公開する「オープンコースウエア(OCW)」。米国が発祥で、日本では東京、京都、早稲田、慶応など有力大24校が始めた。時間や場所に制限されず、誰もが高等教育に触れられる環境が整いつつある‥


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引用元:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/